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野沢尚 『呼人 』 (講談社文庫,2002年) [講談社,1999年]
ISBN4-06-273479-6不老不死の夢を現代という条件設定のもとにあてはめてみたシミュレーション小説です。
主人公は、12歳にして心身の成長が止まってしまいます。それは突然変異というのではなく、あるたくらみによってもたらされた事態であり、その謎を解き明かす過程が、この作品の内容を構成しています。
出生の秘密を探るというモチーフは小説によくありますが、本書は決して私小説的なものではありません。現代の国際社会や近未来の文明を舞台とした活劇としても楽しめますし、いささか陰惨ではありますが少年小説のテーストも持っています。
「永遠の命」というものについてもう少し覗いてみたいな…という余韻を残しつつストーリーは、まあ幸せな結末を迎えますが、主人公・呼人と相手役・小春との関係は説明不足で、著者にこの作品を書かせたものは何なのか、もっと書き込んで欲しい気がしました。
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