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高村薫 『神の火 』 (新潮文庫,1995年)
ISBN4-10-602747-X「神の火」というのは原発のことです。なぜか深く強い情念に支配された登場人物たちが原発を破壊するにいたる長い物語です。何冊かこの方の小説を読んで感じるのですが、この長い間押さえつけてきた深く強い情念が、ある日耐えきれずに噴出するというパターンが多いですね。いつも、そのうねりと浮揚感に酔わされるのです。でも、刺激で感覚が麻痺してきたのか、慣れすぎてしまったのか、最近ちょっと物足りなくなってきました。物語に必然性を与える歴史的・政治的意味がどうも希薄に感じられます。派手な味なんだけれどもコクがないとでもいいましょうか…。
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